ギニア湾で2隻に海賊攻撃。プロダクトタンカーから8人拉致される

ギニア湾で12月30日に2隻の商船が海賊攻撃を受けたと見られます。うちギリシャ船籍のプロダクトタンカーから8人の乗組員が拉致されました。シンガポール船籍のばら積み船も襲われました、こちらは無事だったようです。このほかにも攻撃された船があった可能性がありますが、詳細は不明です。 続きを読む

★イラクのシーア派武装組織、バグダッドの米大使館を攻撃。米大使は避難

イラクにいるシーア派のイラン系武装組織とイスラエル、米国との小競り合いが続いていますが、12月31日には武装組織の民兵や支援者がバグダッドの米大使館を攻撃しました。米大使館の閉鎖を要求しています。米大使は一部のスタッフと共に大使館外に避難、大使館内には少数のセキュリティ要員が残っています。トランプ大統領は「背後にいるイランが全責任を負う。イラクは軍を出動させて収束させるべきだ」とツイートしました。 続きを読む

何で危機を煽るのか。今回の中東派遣は商船にどんな意味があるのか

朝日新聞が「ホルムズ海峡周辺でイランの革命防衛隊の船が海上自衛隊の艦船を追尾した」とする記事を書きました。「日本の艦船で訓練に来た」と答えると離れていった、とのことですが、これは「リスクに繋がる追尾」とはとても言えません。革命防衛隊(IRGC)海軍が行う追尾とは、複数の高速ボートが併走と周回を繰り返しながら走行妨害を展開します。距離も数百メートルほどと衝突の危険すらある近距離にも接近します。「敵」に分類された国の艦船はこうした嫌がらせを日常的受けています。銃撃は戦争行為に直結しますから行いませんが、ちょこまかとした嫌がらせでターゲットになった米艦船がみっともないほどのパニックになったこともあります。

イランはホルムズ海峡の海上警察権を有していると宣言していますから、「バン掛け(職質)」を行います。商船は軍事的な脅威の対象ではありませんからいちいち声掛けはしません。朝日が書いた話はこの「バン掛け」だったにすぎません。10月には紅海でイランの原油タンカーが攻撃されたとかされないとかいう事案もあり、イランは軍事的な緊張状態にありました。そうした中でバン掛けしただけのような事案と感じます。何も騒ぐような事象とは思えませんが、それをこの時期に書く狙いはどこにあるのでしょうか。ネタは防衛省側が出したのではないかと思います。中東海域はことほど左様に緊迫しているので海自艦船を派遣する意味があると言いたいのでしょうか。

今回の中東派遣の意味がまったく分かりません。というか、日本のエネルギー輸送の安全確保が派遣の目的ではないということは分かります。それはまずオマーン湾(ホルムズ海峡に隣接する最北部は除外するでしょう)、北部インド洋、アデン湾で攻撃を受けるリスクが見当たらないことです。さらに言えば、攻撃の相手方を誰と想定しているのかが不明です。日本に取って排除しなければならない国益侵害はエネルギー輸送の阻害。タンカーが撃沈されたり、ハイジャックされるのは阻止しなければなりません。ではそのリスクの相手はどういう連中でしょう。一時期はそれがソマリア海賊でした。活動範囲はアデン湾からインド洋、オマーン湾と広範囲にわたりました。しかし、もはや海上に顕在化した脅威はありません。

ですから相手は海賊ではありません。またアルカイダや「イスラム国(IS)」といったテロ組織の脅威は消えたわけではありませんが中東「海域」に顕在化はしていません。それでは誰なのでしょうか。それが不明なのです。何となくイランの脅威(影響力を持つイエメンのフーシ派やレバノンのヒズボラなど含む)だと考えてはいないでしょうか。それなのにイランのロウハニ大統領は海自艦船の中東派遣に反対はしませんでした。それは米国のアライアンスに入らなかったこととアデン湾、オマーン湾、北部インド洋の派遣範囲を考えれば反対する理由がありません。イランにとってのチョークポイントはホルムズ海峡とバベルマンデブ海峡です。ここを邪魔されなければ敵でも味方でもなく、反対することもないわけです。

イランを脅威の相手方と想定してタンカーの安全を守ろうと考えるならばホルムズ海峡などのチョークポイントを活動範囲としなければ意味がありません。脅威がない海域にいて何を守ろうというのでしょうか。「調査研究」という派遣目的でも万一の時には防衛大臣が対応を指示するようなこともいっていますが、これまでの実績から考えると当てにはなりません。おそらく何もできないでしょう。

では何のために派遣するのでしょうか。米国からのアライアンス参加要請を無碍にはできないし、かといってイランと対決したくもない、という狭間で折衷案を選択したようにも見えますが、果たしてそうでしょうか。いずれにしてもこの派遣エリアにタンカーの顕在リスクは考えにくく、世界各国もこの海域に安全航行のための艦船派遣なんかしません。確かに来年にはイランを軸にした緊張が高まる恐れは十分あります。だからといってあの派遣エリアに「調査研究」で行く艦船の装備では何もできないでしょう。

「高額の税金を使って何に対して何をするために遠い中東に軍隊を出すのか」をどれだけの国民が理解しているのでしょうか。誰もよく分かっていないのではないかと推認できるのですが、にもかかわらず「賛成」が「反対」を上回っています。「よく分からないが危険そうだから守るのは必要では」とか「日本のタンカーは守らなくてはいけない」とか、漠然とした理由で賛成している人が多いのではないでしょうか。ちょっと待ってください。何故か、タンカーへの脅威が見えないエリアに行くのです。しかも派遣されるのは「軍隊」です。形式論ではなく実態としては紛れもなく「軍隊」です。ざっくり言えば自衛隊員は国益を守るため命令を受ければ殺人も厭わないのが仕事。そのために武器を持ちます。それだけに野放図に放置すれば暴走する恐れを秘めており、冷徹なシビリアンコントロールが絶対に必要です。そのためは正確に事実を把握し、評価することです。今回は軍事行動ではありませんから「軍事機密」の範囲は極めて少なくなります。騙しのない細かなシミュレーションの議論と公開が必要ではないでしょうか。今回の派遣には違う目的が隠されているように思えてなりません。

単なる写真

12月27日からオマーン湾、北部インド洋で合同演習を開始したイラン、ロシア、中国の艦船の画像が公開されました。 続きを読む

★★海賊週報★★(2019・12・23~12・29)

【ハイジャック・拉致】=なし
【海賊の未遂、強盗・窃盗の既遂・未遂】=東南アジア4件、ギニア湾2件
【ソマリア海賊の未遂と疑わしい活動】=なし 続きを読む

赤道ギニア沖で拉致されたオフショア船の7人が解放

赤道ギニア沖で作業中に武装海賊にハイジャックされ、拉致されたシンガポールのオフショア船の乗組員7人が31日ぶりに解放されました。12月25日に船社が公表しました。 続きを読む

オマーン湾で27~30日にイラン・中国・ロシアが合同軍事演習

イランと中国が12月26日にオマーン湾でロシアを加えた3国で海軍の合同軍事演習を行うと発表しました。日程は既報の通り、27日から30日まで。 続きを読む

シンガポール海峡で25日にもタンカーに乗り込む。実被害はなし

海賊の連続攻撃が発生しているシンガポール海峡で12月25日にも海賊集団がプロダクトタンカーに乗り込みましたが、撃退され実被害はありませんでした。 続きを読む

ナイジェリア・ボニー島沖で原油タンカーに武装海賊攻撃。乗船阻止し無事

ナイジェリア・ボニー島南西220海里のギニア湾で12月24日07:00 UTC頃、スエズマックスの原油タンカーが武装海賊攻撃を受けましたが乗船を食い止め、無事でした。 続きを読む

ガボンの港で4隻に海賊攻撃。船長殺害、中国人乗組員4人拉致

ギニア湾南寄りのガボンの港で留まっていた4隻の船に武装海賊が攻撃。ガボン人船長が殺害され、中国人乗組員4人が拉致されました。 続きを読む

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