タンカー沈没現場近くの海水の油量、リットル当たり50ミリグラム以下-中国海洋局がサンプル調査

東シナ海でバルク船と衝突・炎上し1月14日に沈没したイランの原油タンカー“Sanchi”からの流出油による生態系への悪影響が懸念されていますが、中国海洋局(State Oceanic Administration=SOA)が27日から28日に掛けて沈没現場近くで採取した海水サンプルの分析結果によると油分は1リットル当たり50ミリグラム以下で中国の海洋環境基準の範囲内だったことが分かりました。サンプルの採取箇所が必要十分だったのかとか、まだ流動的な今後の流出状況といった不確定要素があり、直ちに楽観できるものではないと思います。日本の排他的経済水域(EEZ)内の現場海域では約70隻の船舶が流出油の回収作業や環境調査を行っています。特定されていませんがおそらくほとんどは中国の船舶だと思います。

流出しているのは積荷のイランの超軽質原油と伝えられています。また重いC重油の燃料油も流出しているとみられます。超軽質原油は、コンデンセート油(condensate oil)とも呼ばれ、無色透明に近く、揮発性や爆発性が高いといわれています。海上の油膜は重い原油とは違って薄くなりますが、海水に混じりやすく、有毒なベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、ナフタレンを含むため生態系には長期間にわたって影響を与える可能性が指摘されています。流出したのが燃料油だけならば真っ黒な鳥や岩場に漂着した黒いヘドロ状の油で見慣れたケースになりますが、今回は異なります。しかも超軽質原油がこれほどの規模で流出したことは初めてで影響評価も未知の領域なのです。

タンカーは新しい船ではありませんが、ダブルハル船です。度重なる油流出事故を教訓に船体構造を二重にして、衝突しても積荷の油を入れたタンクは守れるように改善してきたのですが、うまくいかなかったのです。それだけに世界の海事関係機関、関係者は深刻に受け止めています。 続きを読む

★★海賊週報★★(2018・1・22~1・28)

【ハイジャック・誘拐】=なし
【海賊の未遂、強盗・窃盗の既遂・未遂】=東南アジア1件
【ソマリア海賊の未遂と疑わしい活動】=なし 続きを読む

《予測図掲載》 ★沈没イランタンカーの流出油、「1カ月以内に日本に到達の可能性」-英国立海洋センターが報告書。中国・イラン・パナマ・香港の4者が合同チーム結成へ

中国・上海沖の東シナ海でバルク船(香港船籍)と衝突後炎上、1月14日に日本のEEZ内で沈没したイランの原油タンカー“Sanchi”(パナマ船籍)からの流出油(積載原油=136,000トン=960,000バレルと燃料油)は拡大を続けていますが、英国の国立海洋センター(National Oceanography Center=NOC)はサウサンプトン大学と共同で1月の潮流などのデータを基にシミュレーションし、「1カ月以内に日本本土に到達する可能性がある」との報告書を公表しました。シミュレーションのグラフィックを見ると、2月中には日本の漁民ばかりでなく沿岸部で大きな被害が出る可能性があります。また衝突原因などを解明するため中国、イラン、パナマ、香港の4者の海事担当機関が25日に合同調査チームを結成する契約に調印しました。バルク船側からの事情聴取を開始、両船の航行データなどのブラックボックスの解析も始まりました。国際タンカー船主汚染防止連盟(International Tanker Owners Pollution Federation)によれば、35年ぶりの最悪のタンカー事故なのです。 続きを読む

★BIMCO、ICS、INTERTANKOが共同で南紅海とバベルマンデブ海峡の安全対策で臨時ガイダンスを作成。イエメン紛争が商船航行の深刻な脅威に

BIMCO、ICS、INTERTANKOの3団体が共同で1月25日に「INTERIM GUIDANCE ON MARITIME SECURITY IN THE SOUTHERN RED SEA AND BAB AL-MANDEB」を公表しました。イエメン紛争に絡んで民間海事団体が動いたのは初めて。いよいよ潜在脅威が顕在化してきたといえます。 続きを読む

沈没した炎上タンカーに35メートルの穴を確認。油膜、北西に332平方キロ広がる

東シナ海で衝突後、炎上し1月14日に日本のEEZ内で沈没したイランの原油タンカー“Sanchi”からの油流出は続いており、海上の油膜は沈没時の約3倍に広がっています。 続きを読む

アデン湾でセメント運搬船に海賊船?が接近し発砲。武装ガードが発砲し撃退

イエメン・Mukallah港南東90海里のアデン湾で1月21日午後8時半頃、スイスのセメント運搬船に1隻の小型船が接近し、発砲してきました。これに対して乗船していたSAPUの武装ガードが威嚇発砲、撃退しました。 続きを読む

★★海賊週報★★(2018・1・15~1・21)

【ハイジャック・誘拐】=ギニア湾1 件
【海賊の未遂、強盗・窃盗の既遂・未遂】=ギニア湾2件、東南アジア1件
【ソマリア海賊の未遂と疑わしい活動】=なし 続きを読む

米ミサイル駆逐艦、初めて南シナ海の中国人工島12海里以内を航行

中国国防省は1月20日、米海軍のミサイル駆逐艦“USS Hopper (DDG-70)”が17日に南シナ海スカボロー礁(Scarborough Shoal=中国名・黄岩島=Huangyan Island)の12海里内を航行したことに対し、強い警告を発しました。昨年米軍の航空機が中国が建設した人工島の“領空”を侵犯したことはありますが、米海軍は同海域での「航行の自由」作戦を言ってきましたが艦船が“領海”内に入ることは微妙に避けてきました。中国海軍のミサイル巡洋艦が警告し離れていますが、接近航行の意図は不明です。 続きを読む

インド、ソマリア海賊の強制送還第1弾として特別機で41人を母国に

インド当局は1月19日、2011年に逮捕したソマリア海賊117人のうち41人を特別機でソマリアに強制送還しました。これは第1弾で引き続き強制送還を行う予定です。世界中でソマリア海賊掃討に向けて逮捕-裁判-受刑という刑事手続きが取られましたが、多くは5年以上が経ち、それぞれの国にとっては経済的な負担にもなっています。またソマリア海賊の発生自体がほとんどなくなって“目的”が達成されたともいえることが強制送還の背景にあるといえます。

インド洋を挟んで向かいの国になるインドには多くのソマリア海賊が漂着したりしました。そのため今回の強制送還も多人数になり大きなニュースになりましたが、静かに強制送還している国も多くあります。受刑者が母国に帰ることは良い話ではありますが、手放しで喜ぶわけにはいきません。その理由はソマリアの経済状況が好転しているわけではなく、連邦政権も安定していません。米軍は空爆を強化していますが、アルシャバブばかりでなく「イスラム国(IS)」系組織も広がってきています。

さらにソマリア海賊の本拠地である半自治政府プントランド沖の海上では海賊発祥の原因となった外国漁船とのトラブルが深刻化しています。ソマリア沖はキハダマグロの好漁場でフランス、スペインなどからトロール漁船や延縄漁船が押し寄せ、地元漁民と対立しました。これが沿岸漁民を母体とするソマリア海賊のスタートです。その後商業船を狙った身代金ビジネスに発展していきました。日本のネット上ではいまだに「すしざんまい」の社長がソマリア海賊を撲滅したなどという大ウソ話が流れていますが、世界でこんなことをいえば笑われます。こういうのをフェイクニュースといいます。

まあ、すしざんまいの与太話は真面目に取り上げるようなレベルの話ではありませんが、また最近、違法操業する外国漁船とのトラブルが多発してきました。多くはイラン漁船ですが、他国のトロール漁船ともぶつかっています。沿岸漁民にとっては生活の問題ですし、感情的にも他国漁船への反発に繋がっていきます。今回強制送還された「元」海賊が再び海賊活動を行うとはいえませんし、そうならないことを望みますが、人間は生きていかなければなりません。経験者が増えていくという流れが生まれてきたということに留意しなければなりません。

ソース

ベナン沖で消息絶った英国タンカー、無事解放

ギニア湾のベナン沖で海賊攻撃を受け消息を絶った英国のタンカーについて船社のUnion Maritimeが1月17日(現地時間)にタンカーと乗組員が無事解放されたと発表しました。ハイジャックから6日でした。 続きを読む

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